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9月の鑑賞記録

構想中シリーズ「ローリングシャッター東海道(仮)」より

9.11はホント辛かった。親知らずの抜歯だったんだけどホント辛かった。30分の手術が倍くらいには感じたし、麻酔してるくせに痛くて痛くて。そんなんやって大丈夫なん!?ってくらいペンチでメリメリやるくせになかなか抜けんくて何度も繰り返すし。そして手術後も痛みまくって夜眠れんかったり夜中に目が覚めたり。歯医者では3回分くらいの痛み止め処方されたけど、結局薬局で買い足して2週間飲んでたから最初の処方量の20倍くらいは飲んだかな…。まだ冷たい水とか歯茎にしみるし、何より反対側も抜かんといかんからそれが憂鬱だ…。個人差があるらしいから一概には言えんけど結構辛かったケースもあるよ、ということだけ何かしらの検索でここにたどり着いたあなたへお伝えしておきます。覚悟せえよ。で、9月の鑑賞記録です。長いです。

■映画「君はいい子」

教育とか子育てって大変やなぁ…ってのが一番の感想。虐待系の母親がちょっとわざとらしかったかな。

■映画「トリック劇場版 ラストステージ」

そういえば中高生の時ドラマ観てたなぁ、って思って比較的最近の映画版であるこれを観てみたんだけど、なんか当時は面白く感じてた独特の安っぽさが今は肌に合わんくなった。なんやろうな、この感覚。役者はみんな好きなんやけど。

■映画「ゴッド・ファーザー part1」

3回くらい見ようと思って途中で挫折してたゴッド・ファーザーシリーズ。今回はなんとしても見終えるぞ!との覚悟で望んだら意外とすんなり見れた。ただし、特に序盤の似たような色んなおっさんがたくさん出る感じはもう誰が誰だかわからんかったわ。まぁ徐々にキーパーソンくらいはしっかりわかるようになるからいいんかもしれんけど。もう一回くらい見んとちゃんと評価できんかもしれんけど多分もう見ん。

■映画「ゴッド・ファーザー part2」

1より2の方が好きかな。時代が行ったり来たりするけど全体を通して主軸がわかりやすいし。そして他の人のレビューとかにもあるようにラストのマイケルの孤独な感じはすごくいいね。あのシーンを見せるための3時間やな。

■映画「ゴッド・ファーザー part3」

あんまり評判が良くない3。たしかにパッとせんかったな。2で完結した方が綺麗。あいかわらずおっさんがたくさん死ぬ。

■映画「12人の優しい日本人」

先月からの三谷つながりで久しぶりに見た。もっと面白いイメージだったけどまぁまぁだった。でもキャラクター全員を愛すべき感じにつくりあげるのはいいね。日本人のしょうもなさとチャーミングさがギュッと詰まってる映画。

■映画「判決、ふたつの希望」

たしか公開初日?に見に行ったやつ。いま世界中で起きてる民族間の争いとかマイノリティーの問題とか、そういうやつの縮図があった気がする。「寛容さが〜」とかよくいうけど当事者になったらかなり難しいよね…。とりあえずパレスチナ難民の基本的な知識くらいは知っとかんといかんな…。

■映画「40歳の童貞男」

気軽に見ようと思って気軽に見れた。まぁまぁ面白かった。最近の映画だと思ってたけど14年も前のやつなんやね。

■映画「あなた、その川をわたらないで」

韓国版「人生フルーツ」、といったところか。撮る側と被写体でどのくらいの演出的なやりとりがあったのかはわからんけどひとつひとつのシーンがよかったなぁ。もし被写体が若いカップルやったら怒りしか沸かんかもしれんけど、シワシワの老人は何やっても無敵やわ。枯葉とか雪とかで無邪気にじゃれ合う様子がいいね。そのシーンがあるからこそジイさんの死がより切なくなって。良い映画だった。

■映画「覗くモーテル」

「なんか期待とちょっと違いました」みたいなレビューが多いから逆に気になって見たんだけど、たしかにわかりにくいシチュエーションかも。「拾ったものはボクのもの」に近いものを感じたけどそれほど面白くなかった。

■映画「人生タクシー」

以前映画館で見たけどNetflixに来てたので再鑑賞。やっぱ面白い設定やね。まずいことは子どもに言わせる。よく考えたらひどい話やな。

■映画「愛しのアイリーン」

こちらも公開初日か2日目くらいに映画館で鑑賞。しばらく前に漫画読んでたから、それとの比較になっちゃう部分もあるかもしれんけど、壮絶なドロドロ感はよくできてたと思う。漫画版には漫画だからこその魅力もあると思うけど、映画ではアイリーン役のナッツ・シトイが生身の魅力でそれを覆してた。まぁ、そもそもけっこう無理のある話やけどな。あ、でも途中のキスシーンは感動的でよかったな。

■映画「双子物語」

生き別れになってた双子がネット上の情報を元に実際に再会するドキュメンタリー。愛嬌があって魅力的な双子だけど再会以上のドラマがなく、後半はちょっと退屈だったかな。現実に則したドキュメンタリーだからこその退屈さなのか。

■恋愛リアリティーショー「ラブアース」

基本的には映画とかの鑑賞記録にしようと思ってたけどこれは面白かったので。ラブとか言っときながら全然恋の気配がなく、ただただ面倒くさいキャラの2人が周りの人間を振り回す旅番組。地上波では途中でお蔵入りした、っていうのがなんとなくわかる。(今回はabemaで改めて放送してた)

■ドキュメンタリー「名器完成 天川涼羽 AVデビュー」

イベントでの鑑賞。カテゴリ的にはAV鑑賞会なのか?たぶん以前も参加したことのある「バクシーシ山下の社会科見学」として彼が監督した面白いAVをみんなで見るイベント。女性器の整形により名器を手に入れようとする女優とその周りの男たちの話。エロいシーンの大半はカットされてて、SEX前後の人間模様が中心に描かれている。人の良さがにじみ出てる男優とか、おんなじこと何回も言っちゃうおっさんがいい味出してた。バクシーシ作品にしてはすごくポップな印象。明るく楽しく人間観察。

■トキュメンタリー「さよならテレビ(東海テレビ)」

ドキュメンタリー制作には定評のある東海テレビの作品。テレビ側の人間がテレビ側の人間たちを撮る、という面白いコンセプトなんだけど、ゴタゴタしたおっさんの争いとか、ダメな新人とかがちゃんと映ってるのは良かった。ツイッターの反響とか見ると否定的な意見も多いみたいだけど個人的には楽しめた。ただ、まだまだテレビ的な幕で覆い隠されているような印象もあるからもっとひっぺがせたら面白いと思う。末端のスタッフじゃなくて上層部の失言とか。でもテレビ放送っていう枠にいる限りはクリティカルなものは放送できんのやろうね。もやもやするね。

■ドキュメンタリー「ホストである前に人間やろ(ザ・ノンフィクション)」

なんとなくyoutubeに落ちてたので鑑賞したシリーズ。熱い青春的な昔の話もいいけど、ラストの転落があってこそ締まる物語やね。さらに現状をネットで検索すると情報商材とかやってるみたいで色々考えさせられる。

■ドキュメンタリー「転がる魂 内田裕也(ザ・ノンフィクション)」

希林さん亡くなるちょっと前に放送されたやつを、亡くなったあとに鑑賞。やっぱ裕也の存在無しには希林は語れん、ってくらいでかい重しなんやね。「ロックは死なない」なんて言葉はもう死語になりつつあるかもしれんけど、この人の「ロケンロール!」はそれとは別世界にある気がする。そして裕也の死とともに消えてしまいそう。それでいい。死んでもいいのがロケンロール。政見放送もロケンロールだった。

■ドキュメンタリー「お母さん、隠しててゴメン(ザ・ノンフィクション)」

元AV女優、現舞台女優・Vシネ女優のしじみが主役。以前映画に出てたから知ってたんだけど、今はなかなかタイトな暮らししてるんやね。twitter上では「幸せな家族像を押し付けられてる感じの編集になっててよくない」みたいな声が多くあったけどこの題材ならこうなっても仕方ないような…。本人が「編集チェックさせてもらえなかったからどうなってるかわからないけど」と放送前にツイートしてたけど、ドキュメンタリーとかルポルタージュと本人確認の問題って非常にデリケートよね…。でもこの映像で「家族と和解して舞台やVシネでがんばる!」的な流れになってたのに最近AV再デビューしたとか…それもひっくるめて考えるとまた興味深い。そこまで触れられてたらもっと衝撃的なドキュメンタリーになってただろうな。

■漫画「コジコジ」

最初はちびまる子ちゃんをちゃんと読もうと思って読んでたんだけど、ある程度来たところでペースが落ちてきて、結局コジコジに切り替えたらこっちの方が自分にはしっくりきた。ちびまる子ちゃんの枠組みの中では描けないけどさくらももこが描きたかったこと、みたいなのがにじみ出てた気がする。メタ的な表現も多かったりね。かめ吉くんがお気に入りキャラ。

■批評誌「アーギュメンツ#3」

ようやく最終巻である3を読み終えた。1や2よりもだいぶボリュームがあって苦労した…。あいかわらずわけわからんのはわからんけど断片的に触れられる思考は面白いものがたくさんあった。とっつきやすさっていう意味ではJホラー批評がすんなり受け入れられたかな。歴史が浅いジャンルは批評的な観点でも入りやすいのかも。最後に入ってた短編小説も面白かった。最近こういうの読んでないなぁ。アーギュメンツ自体はこれでいったん終わりらしいけど何かの入り口にはなった気がする。なんの入り口だったのかは1年くらいしないとわからんと思うけど。

■小説「私たちは大人になれなかった」

「夫のちんぽがはいらない」とか「死にたい夜にかぎって」みたいな現代的な私小説。読みやすくてするっと読めたし期待していた感じの読後感は得られた。ただ、想像の域は出なかった。たまに箸休め的に読むのにちょうどいい作品。

■トークショー「鈴木薫×黒瀬陽平」@エビスアートラボ

近所でやってたので、鈴木氏の個展開催に付随するトークイベントに行ってきた。たまたま前日くらいにtwitterで見かけて行ったので作品に対する事前情報とか全然知らなかったんだけど、トークだけでも行く価値があったと思う。よくtwitterで見かける黒瀬氏の活動や思考など、とてもしっくりくるものが多かった。「文脈」って言葉自体になんとなくアレルギーがあったんだけど少し緩和した気がする。あとはアートマーケットへの胡散臭さに対する見解とか。「表現の自由」と「鑑賞の自由」とか。アーティストは”問い”を示すのか、”仮説としての答え”まで示すのか、といった話はカオスラウンジ新芸術祭の活動とともに語られることでかなりクリアにもなった。あとでネットで見たカオスラウンジ宣言にあった”アートに神秘性などない。人間の知性も感性も内面も、すべては工学的に記述可能である。”っていう意味の片鱗に触れられたように思う(ここだけ引用するのも乱暴だけど)。ただし、今回の作者である鈴木氏の声が致命的なまでに小さくて、ほぼ声は聞き取れなかった。作品もトーク後に見たんだけどあまりピンとこなかった。もっとじっくり腰を据えて見たかったな。

■トークショー「 さやわか × 黒瀬陽平 × 東浩紀 ゲームとアートは出会うのか」

『ゲンロン8 ゲームの時代』刊行記念イベントとして開催されてたトークショーをニコ生で閲覧。ゲームといいつつメディアアート全般に対する分析があり、非常に興味深かった。おそらく「アート」という言葉については彼らが話しているものと自分が認識しているものとで若干乖離があったような気がするんだけど、その差に近いものがちょっと見えてきた気がする。以前ネットで見たゲームアートについての記事も触れられていて、自分の興味の対象が少しずつ繋がっていく感じがした。あと、八谷和彦が肯定的に語られていたのはなんか意外だった。

■トークショー「黒瀬陽平×さやわか×松下哲也 ゲーム、美術、キャラクター!」

そしてさらにもう1本ニコ生で閲覧。前回みたやつより、より(ビデオ)ゲーム寄りな話題が多く、自分にとっては馴染みのない固有名詞も多かったけど、相変わらず断片断片では興味深いものがたくさんあった。内容もさることながらこうして語る場があること、それに反発する人がいることなど、カルチャーに対するさまざまな価値観って面白いな、って改めて思った。しきりに「俺たちはちゃんとゲームやってる!その上で語ってる!」的なこと言ってて、その向こうにいるクレーマーが想像できた…。

■哲学エッセイ?「弱いつながり 検索ワードを探す旅(東 浩紀)」

ゲンロンカフェからのつながりで東浩紀の一番読みやすそうなやつを買ってみた。ちょうど「旅」は自分が写真を撮ったりするうえでのキーワードでもあるし、それを現代的な立場から語っているのはすごくしっくりきた。「観光客」なんてフレーズもまさに自分の立場にぴったりだからな。ただ、ここで語られる「生活にいかにノイズを入れるか」みたいなこと「旅」と「インターネット」の関係はちょっと強引に単純化しすぎているようにも思った。

■写真展「A=A A≠A(mountain) (ヒガシジユウイチロウ)」@KOBE 819 GALLERY

たまたま神戸に行く用事があったんだけど、その前日くらいにtwitterで知ってタイミングも場所も良かったので行ってみた。ある写真を2000回コピーするとそれはどんな価値を持つか、みたいな作品。いい意味でモヤモヤする展示だった。あとでトークショーの様子がネットに上がってたのでそれも見たんだけど結局モヤモヤが残った。たぶんそれは作者の意図通りなんだろうけど。ただし、ここで一番のキーワードになっている「コピー」という概念が「スキャニング」と「プリント」という機械に依存したプロセスで行われる限り、その性能とかについてもっと言及されてもいい気がする。結局はコピー機の汚れみたいなものが増幅されてるだけじゃないの?って思っちゃうと思考ゲームが正常に成り立たんし。また別の場でも見てみたいな。

■サイエンスエッセイ?「生物と無生物のあいだ(福岡 伸一)」

最近読んだ誰かのインタビュー記事で触れられてて興味を持ったので買ってみた。何をもって生命を定義するのか、をDNAの自己複製などの観点から考える本なんだけど、単純に事実が語られるだけでなく、そこに携わる研究者を軸に紹介されるのでひとつひとつの発見が感動的。内容もそうだけど科学者に対する敬意が増す本だった。物理学部に進みたいと思っていた時期があったことを思い出した。本の中で引用されていた「生命現象は神秘ではない。生命現象はことごとく、そしてあますところなく物理と化学の言葉だけで説明しうるはずである。」っていうシュレディンガーの言葉は、一見冷たいけれど科学者的な夢がギュッと詰まった素敵な言葉だなぁ、と思う。そしてちょっと上で書いてるカオスラウンジ宣言の一文に笑えるくらいに似てる。たぶんこういう考えが自分は好きなんだろうな。

■写真集「White Night (Feng Li)」

最近グッと注目度が上がってるFeng Liの写真集。ストロボ撮影で切り取られた中国の”濃い部分”がたくさん詰まった本。深みはないのかもしれないけどこれは表面的な世界を楽しむものとして楽しめばいいんだと思う。別の作品でファッション系の写真を撮ってたけど、ファッション系とたしかに相性良さそう。ただし装丁の質が悪く、表面のPP加工が剥がれたり背表紙の糊付けが甘かったりしてよくなかった。よくないぞ!

ということで以前より長めにお送りしました。パパパっとした印象で書いちゃってるから文章にはあらわれてないかもしれないけれど、9月はなかなか実りのある月だったと思う。逆に外出することは減ったな。太らんようにせんとな。最後に、最近何かで見つけた素敵なバンドの映像をひとつ。ボーカルが日本人で、メンバーはかなり多国籍みたい。2018年っぽいバンドやね。(

 
 

8月の鑑賞記録

(スリランカで撮った日本語の書いてある車)

またまた今更なタイミングでのアップなんだけど8月の鑑賞記録です。8月は…スリランカ行ったのがやっぱ一番大きかったかな。例のごとくギリギリまで行き先悩んでたから宿も前々日くらいにやっと取れたくらい。写真もいっぱい撮ったけど、どうまとめるかをずっと悩んでいる。旅についてこねくりまわす日々。スリランカカレーもいっぱい食べた。あと東京も行った。なすおやじのカレーとインドカレーを食べた。

■映画「みんなのいえ」

先月に引き続き三谷幸喜ブームの流れで。多分初見だったけど三谷的安心感で見れるやつだな。ちょっとだけ地味な印象。並。

■映画「変態だ」

雪山でよくがんばった!っていう以外に特に語れない。前野健太のライブ見てる方がいい。変態をタイトルとかに掲げるのって結構リスキーよね。

■映画「奇跡」

是枝映画の中では一番中途半端な印象。やっぱ子どもが主役だからかな。でも「誰も知らない」も子どもメインか…。とりあえずハシカンは子どもの頃からハシカンだった。

■映画「レディ・プレイヤー1」

飛行機内で見た、から画質が良くなかったんだけど、これはできればちゃんと大きい画面で見るべきよね。いろんな見方ができる作品だと思うけどなんとなく時代の終わりを感じた。過去の総決算的な。スマブラとかに出会った感覚に近いのかな。あぁ、もうこういうやつは過去のものになったんやな、的な。でも見てよかった。

■映画「幸せなひとりぼっち」

評判良かったので見てみた。でもだいたい予想通りの流れ。悪くないけど残らない。

■映画「15時17分、パリ行き」

実際に事件にかかわった人たちが演じた、っていうのを後になってから知ったんだけど、先に知ってたら感じ方も違ったのかな。個人的にはちょっと退屈だった。事実がベースになるがゆえのしょうがないところかもしれんけど。脚本・編集が合わなかったのかも。

■映画「ウィンターオンファイヤー ウクライナ自由への闘い」

あれ、全然内容覚えてないや…。デモとか民主化運動とかのドキュメンタリーは好きなんだけど、土地に対する前知識とか興味が伴わんとこういうことになっちゃうんやろうな。

■映画「嘘を愛する男」

飛行機で見た。ハマりそうで全然ハマらずにすり抜けていった感じ。釈然としない点が多かった。悪い意味で。

■写真展「十一月の星(内倉真一郎)」@EMON GALLERY

ひねりとかなく、ただただ神々しい作品群だった。普遍的なんだけど自分と遠い世界の出来事のように思えた。

■写真展「世界報道写真展2018」@東京都写真美術館

ストリートフォトグラフィーと近い部分があるんだけど、写真から感じられる「正義のために!」みたいな匂いがちょっと苦手だったかな…。そりゃあみんな正義なんだけど…その正義が誰かの足を踏んづけてるんだよ…なんて息苦しさ。

■写真展「地平」@CASE TOKYO

今回は同人誌の復刊?的な展示だったみたいだけど、なんとなくこの時代には合わないっていうか…古いことを形だけ踏襲してやってる感じがした赤鹿さんとかはここじゃない場で見たかった、地平自体のことをあまり知らんかったからパッと見た印象だけど。

■美術展「ゴードン・マッタ=クラーク展」@東京国立近代美術館

こちらもネットでさらっと見ただけの事前知識だったからほぼ現場での直感的な印象だけど良い感じがした。ただしどう良かったのかをじっくり立ち止まって考えるには物量が多すぎた。もっと小難しいコンセプチュアルな作品かと思ってたけど、アナーキーなものが多かったかな。

■美術展「『絵と、 』vol.2 藤城嘘」@gallery αM

なんとなく興味で見に行ってみた。ただ少ない枚数では感じられることも少なく、なんとも消化不良な印象。ただ、机に置かれていたポートフォリオみたいなので彼のこれまでの作品を振り返ることで、(明文化されてるわけじゃないけど)文脈的なものが見えて来た気がする。とりあえずさくっとした印象で終わったけど9月にカオスラウンジとかゲンロンとかに関係する情報を集め始めたきっかけにはなったかも。

■ライブ「阿部芙蓉美と三輪二郎」@下北沢440

(昔近くに住んでたから)440とかめっちゃ久しぶりやな〜とか思いながら冷房が寒いなか、クールで熱い三輪二郎を聞いた。6月に前野健太と大森靖子聞いてその変化を感じたけど、三輪二郎はずっと三輪二郎やってるなぁ。ゆるさと力強さがあり、でも無駄がない。そう、三輪二郎のギターには無駄がないんだよ。テクニカルでかっこいいんだけどすべてが必要で必然の音だったと思わせてくれるようなビシッとした音。素敵や!阿部さんももうちょっと色々聞いて見たくなった。

■エッセイ「他人の始まり 因果の終わり(ECD)」

亡くなるちょっと前のECDの日記。まさに植本さんの逆側から見てる感じで不思議やな。彼の本読むまで全然そういう印象なかったけど家族あってのECDやったんやなぁ…。自殺してしまった弟さんについてももうちょっと知りたい。

という感じで平成最後の夏はモヤモヤしておりました。年号については廃止派です。

7月の鑑賞記録

前回に引き続き鑑賞記録です。7月は特に映画ばっかりだなぁ。Netflixのおかげで飯食うときはだいたい映画観てるんだけど、その分本を読む時間が全然なくなってしまった。ネットの記事とかは毎日何かしら読んでたりするけど溜まった本も読み進めたいな。

■映画「バウンス ko GALS」

昔見たような気がしてたけどたぶん見てない。おそらく同時代に同世代として見てたら嫌悪してたけど今見るとキラキラした青春、て感じで良かった。昔の日本映画ってなんであんなに芝居掛かった芝居するんやろ。そういうものとして見れるからいいんだけど今とは芝居の温度感ってだいぶ違うんやろうね。

■映画「裸足の季節」

これもある意味青春映画やね。ヴァージンスーサイズっぽいなって思ったけどこれはこれでよかった。閉じた世界が少しずつ広がっていくワクワクとドキドキ。俺にもあんな少女だった時代があったんかな。ないやろうな。

■映画「そこのみにて光輝く」

暗めの男女のいろいろある映画。嫌いじゃないんだけどぐっとくるところはあまりなかった。ありそうでなさそうな感じがするけど実は結構見かけるタイプの映画、なのかもしれん。

■映画「みなさん、さようなら」

同名の邦画があるみたいだけどこれは洋画の方ね。がんこなおっさんとか出る映画はたぶん好きなんだけどこれは全然ピンとこんかった。最後はなんかあるか、って思ったけど全然ダメやったわ。

■映画「夜は短し歩けよ乙女」

原作読んでないけど湯浅政明監督作品として観てみた。でもダメやったわ。興味ない人の夢の世界を見せられてる感じで最後まで興味持てんかったしノリが苦手やった。

■映画「スクリーム」

いまさら!スクリーム初見です。映像の質感とかチープっぽいホラーさは好きだったけど結局落ちがああいう胸糞悪い系な映画なんやね。胸糞系ならファニーゲームが君臨してるから勝てんよなぁ。amazonで2作目のレビューを軽く覗こうとしたらタイトルに犯人書いてるレビュアーがいて最悪な気持ちになったからもう2は見ないと思う。あほ。

■映画「ピンクリボン」

ピンク映画に関するインタビュー集みたいなやつ。よく考えたらそんなにピンク映画について知らんし淡々と進んでいってイマイチやったわ。

■映画「OCD メンタルクリニックは大騒ぎ」

気軽に見れる感じのコメディー、気軽に見て終わった。ちゃんとオチもつけてて悪くないけど特別面白いわけでもない。

■映画「アルファ碁」

これは映画として、っていうより題材に興味があったから面白かった。新しい時代にみんなで進んで行ってる感じがワクワクできて良かった。碁のルールはよく知らん。ドキュメンタリーとしての独自の工夫とかも特に感じなかった。

■映画「海よりもまだ深く」

非常に地味な作品なんだけど是枝映画のなかではこれが1番好きやな。「歩いても歩いても」もいいけど。ディテールの描写とか小さな会話のひとつひとつが良くて、なんでもない日常をしっかりと肯定的に見せてくれるいい作品。阿部寛がピタッとはまってるしね。阿部寛ってこうしてみると日本映画界ですごく稀有なポジションやな。サイトも軽いし。

■映画「あん」

樹木希林2連チャンだけど雰囲気はまた全然違う。でも年輪ぐるぐるな感じっていうか、塗り重なった層の重みみたいなのはあるよね。ただし映画としては後半の展開がパッとしなかった。主役の永瀬正敏含めキャラはいいんだけどなぁ。

■映画「軽い男じゃないのよ」

急に性別の価値観がガラッと変わっちゃう系映画(そんなジャンルあるんか)。今の時代っぽいけど可もなく不可もなくな作品。わかりやすいけど深くもない。

■映画「聲の形」

ギリギリのラインで入り込めなかった感じ。結局いい話系映画なんかぁ、って残念な気持ちになった。そして否定しにくいテーマだからこそ…はいそこまでよ、って閉ざされてる気がした。

■映画「バード・ショット」

フィリピンの不幸な話。否定はできないけど共感もできない。判断を誤った主人公が結局悪い。

■映画「おいしいコーヒーの真実」

他にも類似した作品はあるけど実は産地は苦しいんだぞ、な映画。毎日コーヒー飲んでる身としては知らんといかんことかもしれんけれど映画として想像の域を超えるような場面や展開はなかったかな。

■映画「カメラを止めるな」

一応名古屋での上映初日に観に行った。東京とかで評判良くてジワジワ広がってきてるけどシネコンとか全国展開とかはまだ、っていうタイミング。最初の映画内映画部分がちょっと長く感じたけど全体的に面白かった。他の人も指摘してたけど三谷幸喜的な感じやね。作品の性質上リピーターも多いみたいだけど、あまり内輪笑いになるのは好きじゃないからたぶんいかない。でもこういうインディーズ映画が盛り上がるのはすごく嬉しいことやね。シネマスコーレは引き続きこういうマイナー映画文化拡散の地であってほしい。

■映画「私が、生きる肌」

オープンユアアイズとかに似た観後感。スペイン映画独特の世界観なのかな。ジャンル的には好きなんだけどこれはそんなにはまらなかった。話はうまくまとまってるんだけどなぁ。

■映画「ラジオの時間」

昔見た気がするんだけど、カメ止め見てあらためて見直して見た。よくできてる映画。きれいな映画。たぶん本能的にはそういうきれいにまとまった映画は好きじゃないんだけど、三谷映画は好き。なんだかんだでマイノリティーなキャラも横柄なキャラも平等にハッピーになる、ある種の宗教物語的な展開に安心してるんかな。

■映画「テイク8」

同じくカメ止めの流れで見た同監督の過去作品。youtubeに上がってた。でも別に見なくてもよかったかな、というくらいのこじんまりした作品。芹澤興人はどの映画で見ても同じキャラな感じで素晴らしいんだけど。

■映画「リトル・ダンサー」

有名作品だけどずっと見てなかった。まぁストーリーはシンプルなんだけど(ジャケ写1枚見たら想像つく感じ)、T-REX好きだから2割り増しくらいに良い話に見えたかも。ヒップホップダンスがテーマだったら全然感じ方も違ったんだろうなぁ。

■映画「オーシャンズ11」

これも有名だけど未見だった。まぁ、安心して見れるエンタメ作って感じ。

■映画「点」

なんか短いやつがnetflixにあったから見てみた。さらっとして特に何も残らなかった。

■映画「アンビリーバブル号の財宝」

ダミアン・ハーストの作品にまつわるフェイクドキュメンタリー。っていうことを知ってみたらすごくつまらなかった。でも何も知らずにこの作品を見ようとも思えないので何かが矛盾している気がする。現代美術作品の価値を揺さぶる、っていうのは面白いテーマなんだけどね。

■映画「学校」

山田洋次はずっと山田洋次なんだなぁ。ほのぼのする。田中邦衛もずっと田中邦衛でよかった。

■映画「ミッドナイト・イン・パリ」

評判が良さそうだったから見たんだけどイマイチぴんと来んかった。パリとかが体質に合わんのかな。

■写真展「STAND HERE(稲川有紀)」

on readingでやってた写真展。スペースの都合もあるのかもしれんけど作品点数が少ないとそれらがすごく象徴的な見え方をするから、そこが作者側にも鑑賞者側にとっても難しいところだと思う。トークとか聞けばまた別の感じ方するのかな。展示だけだとちょっと物足りなかった。もやっとする作風は好き。

■エッセイ「失点イン・ザ・パーク(ECD)」

これも昔読んだ気がしてたけどたぶんそんなことなかった。客観的に見るとかかわりたくないアル中、っていうだけなんだけど、それをほっとけなくさせるのがエッセイっていう形態の力だったり著者の筆力だったりするんだろうな。まぁとりあえず植本一子氏の本読んだ後に見ると時系列もバラバラになって客観的には見れんわ。そして何より本人が最近亡くなったっていう事実は絶対に無視しては読めないし。がんばったECD。おつかれECD。

■批評雑誌「アーギュメンツ#2」

先月に引き続きちびちび読んでる批評誌。あいかわらずとっつきにくい文体だけど#1より興味を持てるテーマも増えて読み応えがあった。シェルパと道、三脚と映像の関係、バンギャ文化とか、みんなすごくいいところに着目してるなぁ。

という映画寄りな7月。飯食いながら見てるせいなのか、テキトーに見てテキトーな感想しか持てなかったものが多いのは残念。完全に自分が悪い。せっかく見るならちゃんと向き合わんともったいないなぁ。最後に最近見つけたシンガーソングライターを2選。どちらも初々しさといろんな可能性があって今後が楽しみ。ライブ見たい。

「邪悪な国」ふゆふきうどん

小棚木もみじワンマンライブ 2016・9・9 (fri)